橋下府知事による府政黒字化を単純に評価できない人々

 橋下府知事の府政黒字化は評価できるのかできないのか。人によって思うことはいろいろあるようで。

橋下府知事による府政黒字化を単純に評価する人々
大阪府11年ぶり黒字へ…橋下改革成果 : 橋下 府政改革 : 特集 : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

いや、こういうのは単純に手放しで評価できるようなものではないんだがw 素朴な人が多いよね。
橋下府知事による府政黒字化を単純に評価する人々

 前もって書いておくと、自分はその単純に評価した素朴な人です。でも手放しで評価はしてないかな。

評価できないと言っている人が言っている評価できない理由は評価できない

橋下知事は、08年度の予算編成で、職員給与を都道府県最低水準まで引き下げたほか、私学助成金や市町村補助金を削減、減債基金の繰り入れも中止し、1100億円の収支改善を達成。
こういうのを見ると「悪いリストラ」になってる可能性を無視できないんじゃないか。評価はまだ時期尚早だべ。
橋下府知事による府政黒字化を単純に評価する人々

 おそらく、リストラや社員の圧迫を示して、以降のJR西日本の例につなげたかったからこのような例を引き合いに出したのであろうが、残念だ、非常に残念だ。

 残念ながら職員の給与は、基本給与以外に様々な手当が付加されて構成されています。そこを踏まえて考えて“最低水準まで引き下げる”という行為は、10年連続で財政赤字の団体がやってはいけない行為といえるのでしょうか?むしろ赤字が続いている限り、無駄な費用がかかっているとは考えないのでしょうか?

大阪府職員の給与:イザ!

 またその後、例として示しているJR西日本福知山線脱線事故。果たしてこれを今回の事例の比較対象として適切なのかどうか。

例えば、JR西日本福知山線事故がどうして起こったのか、もうみんな忘れちゃったのかな?リストラって劇薬なんだぜ?

他のJR各社と比較しても過激だったリストラのすえに、社員の構成が強烈にいびつになり、それが経験の浅い若手が福知山線のような難しい路線のラッシュ時を運転せざるをえないような状況を生み、事故の遠因になったのである。
橋下府知事による府政黒字化を単純に評価する人々

 残念ながら公務員は法律上、懲戒免職に該当するような事実がない限りクビにはなりません。もちろん分限処分はありますが、あくまで、

降任及び免職の事由
職員が、次の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
・勤務実績が良くない場合
・心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
・その他その官職(職)に必要な適格性を欠く場合

分限処分 - Wikipedia

というなっています(by Wikipedia)。法に関してはあまり詳しくないのでこれ以上の言及はされても答えられませんのであしからず。
 根本的なことを言うと民間と公務員を比較してはいけない。するならば同じ公務員の事例をあげないと。


 個人的には府職員の新規採用の凍結の方が問題なように思えます。大阪市大阪府ではなく大阪市)では、過去に採用凍結を行ったことがありました。それによってどのような結果がもたらされたか。
 そこには職員間の年代の空白。入局(であってるのかな?)したら、一番年齢の近い先輩が15歳上だったという話も聞いていたりします。その空白によって発生する一番大きな問題はノウハウ・ナレッジの消失です。
 中小企業ではこれくらいの年齢の乖離は当たり前かもしれませんが、これだけの規模の団体で空白の年代が生まれていることは、サービスの質の低下*1、また技術職においては技術力の低下につながるのではないでしょうか*2。ちなみにソースは俺。

橋下府知事が評価できる理由

 さて、マイナスなことをつらつらと書いてきましたが、少しは今回の評価できる箇所を整理して3つ挙げておきます。

  • 府政に関心がなかった府民に関心を持たせた
  • 実際に黒字化したという事実
  • 過去の府知事との比較
1.府政に関心がなかった府民に関心を持たせた

 1つ目に「府民に関心を持たせた」という事実。マスコミが勝手に騒いだとも言えるかも知れませんが、結果的に宮崎の東知事同様、府民(宮崎の場合は県民)に府政(県政)に興味を向けさせたこと。少なくとも以前の知事では見れなかった変化が起こってはいないだろうか。
就任1年、過激発言 府民つかむ…世論調査<詳報> : 橋下 府政改革 : 特集 : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 あくまでこのソースは新聞社のソースで、何某かのバイアスがあるかもしれないが、ちゃんと府がこのようなアンケートを実施すれば、明確な変化の潮流が見れるのではないでしょうか?
これからの府政のあり方について

2.実際に黒字化したという事実

 2つ目に黒字化したという事実。言及先の記事ではその事実を根本から否定してらっしゃいましたが。事実は事実です。10年間も赤字を続けていた団体を、これだけマスコミが注目している中で形だけでも黒字化することがどれほど難しいことか。
 おそらく多くのマスコミや言及先のなかの人のような人が、今も穴を探して奔走しているかと思いますが、とりあえずの結果は素直に受け止めるべきではないかと思います。

3.過去の府知事との比較

 3つ目に過去の知事との比較。まぁ「まともな知事が今まで居なかったからだ」と言ってしまえばそれまでなのですが、逆説的に言うと「今回の知事はまともな知事だった」ということになるのではないかと。


 もちろん今回の結果だけで喜ぶのは早いというのはわかる。だが、就任一年目で、散々マスコミや2chで叩かれていた結果としてこの結果をもたらしたのであれば、揚げ足取りに奔走してないで、少しは評価してもよいのではないでしょうか。
 問題はこれから。1年目はマスコミのように芸能人知事として色眼鏡で評価したり、“橋下府知事による府政黒字化を単純に評価できない人々”のように単に揚げ足取りをしていた人たちが、今度は芸能人知事としてではなく“知事”としての評価を求めてくるでしょう。
 自分は橋下知事が前の府知事のようにならないことをしないことを切に願っています。

 ちなみにこの人の記事を読んだとき、この記事を思い出したりしたんだよね、悲しいことに。
麻生内閣「支持」が33%、「報道は揚げ足取り多い」は79% - ニコ動世論調査 | ネット | マイコミジャーナル

*1:現状のサービスの質は置いといて

*2:そもそも技術力なんか必要ないって言えばそれまでなんだけど。