字が上手く書けるようになるためにするべき3つのこと
何か字がうまくなる方法なるものをid:takerunbaが書いていたので対抗して書いてみます。
ポイントは書道的な視点で。
実は両親が書道の先生をしていてたり、自分自身も書道の師範の認定を持っていたりするんですが、今では遠い昔の話です。ただ、ここに上げるポイントを押さえておくと必ず上達します。だまされたと思ってやってみてください。
DSではうまくならない理由
最近ではDSなんかでトレーニングできますけども、俺はオススメしません。何故なら、あれは「DSで」書く字がうまくなるトレーニングであって、DSを使うシチュエーションに限定される訓練法。一般的な場面への応用力は低いです。スタイラスを操り、DS上でいくらキレイな字を書けるようになっても、それを用いないケースに転用できるスキルではありません。正しい字の形を理解するという意味で、そういうプラス効果はありますが、紙とペンという組み合わせでの場面練習にはまったくなりませんので、効果があるとは思えません。
基本的には、字の美しさが求められるのは、紙とペンを用いた場合ですので、トレーニングにも同じ道具を使うべきです。紙とペンを使って再現できてこそ、美しい字を書くというスキルが身につくと言えるわけで、DSで字がいくらうまくなっても、本来の目的が達成されるかどうかは別問題。
書道で毛筆がうまいからと言って、ペン字がうまいと限りません。毛筆は毛筆、硬筆は硬筆。字を書くという行為は一緒だし、転用できるスキルは多くありますが、半紙に筆と紙にペンでは道具が違う。道具が違えばスキルが違う。であるならば、よりストレートな方法をとりましょうと。そういう話なんです。
柔道で強くなるために、合気道で強くなる。柔道でも強くなるかも知れないが、ストレートな方法ではない。こういう話と一緒ですね。
激しく同意なわけですが、そこに理由をつけます。
日本語の場合、字を書く際に重要な項目は3つ。id:takerunbaもあげていますが「はね」「とめ」「はらい」は死ぬほど重要なのです。すべての漢字・ひらがな・カタカナでこの3つは使われているためです。
この3つについて、はっきり言って全くDSでは表現できません。
毛筆を例に挙げると、毛筆では筆にかける筆圧と手首の角度、そして腕から手を一体として、一つ一つの字に魂を込めます。決して指先や手先だけで書くものではなく、肩から先の“腕”で描くものなのです。硬筆にしても“腕で書く”という感覚は若干薄くなりますが、やっていることは同じです。
書道における綺麗な字は、この“腕”の力加減で描く「はね」「とめ」「はらい」の絶妙なバランスの上に成り立っています。
しかしDSでは“腕で書く”という感覚はおろか「はね」「とめ」「はらい」の点でも、実際に紙に書き出す場合に意識する点がおさえられていなかったりします。要するにDSでは腕全体の力加減を通して描く“字”は表現できないのです。鉛筆や筆の繊細さを表現することはできないのです。
表現できないと言うことは確認ができないと言うこと。つまりは「練習にはなるけど…」で終わるのです。*1
「ゲームをなめちゃいけない」と言い出す人もいるかと思いますが、はっきりいいます。DSで練習するのと実際に紙に書くのとは雲泥の差です。
どうすればいい?
ではどうするか。もし練習をするのであれば紙に鉛筆で書くことです。
続いて筆記具ですが、太いペンは薦めません。太い字は、線が潰れるので、ごまかせます。ごまかしでは、正しい字を習得できません。ごまかしがきかない細いペンを使い、練習した方がいいでしょう。
オススメは0.3mmか0.4mmの水性ペン。これが練習に適していると思います。油性のボールペンだとインクの出が一定ではなく、字が滲みますが、その点、水性ボールペンの方がインクの出が一定で、後々振り返るのに適しています。
また鉛筆やシャープペンシルより、ペンを薦めます。それは、鉛筆やシャープペンシルを使うケースは個人的なシチュエーションに限定されるのに対し、ペン字はよりフォーマルなケースが多く、人目にさらされやすい。ことに公文書にはペンで記入することになるわけで、より実戦的であること。また鉛筆やシャープペンシルは芯を使うため、筆記具の角度を一定に保てない。芯は減っていくので、そこをずらしずらし使うことになる。となると書き味が少しずつズレていくので、練習道具として不向きなのです。同じ書き味の方が、一定してやりやすい。
以上が細い水性ペンをオススメする理由。個人的にはPILOTのHI-TEC-Cがいいと思いますね。どこの文房具屋さんでも売ってますし。入手しやすいですから。
練習するのであれば、個人的には鉛筆を、しかも2B以上のものが太目のものをお勧めします。
おそらくid:takerunbaは「業務で使うのはペン、ならペン字が上達すれば良い」という判断だと思いますが、上に挙げた「はね」「とめ」「はらい」をしっかり身につけるのであれば、明確に表現される太いものを用いることがベターなのです。
ちなみに、ペンで上手に字を書く人が筆で上手に字を書けるとは限らないですが、筆で上手に字を書ける人はペンを使っても上手に字が書けます。
さて、ここまで来たら書く練習ですが、字を書く際にするべき3つのポイントを挙げます。
1.真似をする
兎にも角にも真似をすること。もちろん綺麗な字を。「この字が自分だけのオ・リ・ジ・ナ・ル☆」とか言ってる人は基本上達しません。それはあくまで独自の路線に進むのみです。
勘違いしてはいけないのは、真似をする時にすぐに特異な字を書こうとすること。これは以ての外です。上達を目指すのであれば最低限の守破離はおさえましょう。
練習には見本を用意しましょう。手元に見本があればそれを使えばいいし、なければ適当にWordでつくってください。大きめのフォントで打ち出せばいいだけです。お金かかりませんね。安くいきましょう。
ただ、フォントは明朝にしてください。ゴシックはダメです。ゴシックでは平仮名特有の丸みを練習できません。明朝の字体こそが平仮名の基本。草書体とか行書体だと崩しすぎ。明朝が一番バランスが良いのです。
適当な見本を用意しましょう。
そうですね、ゴシックはありえませんね。でももし手本を出力して真似するのであれば、手本とすべきフォントは明朝ではなく楷書体がベストでしょう。楷書体は今の日本で最も基本的な字形です。ですので、上達の最短ルートは楷書体を真似できるようになることなのです。
2.ゆっくり書く
ここが重要なポイント。どんな煽られてもゆっくり書くこと。
ゆっくり書く時に大事なのは字を意識することです。ただただゆっくり書いていても無意味です。人によっては「そんなゆっくり書いてられません」という人もいると思いますが、徐々に人は慣れます。もちろん字を書くことにも。
なぁに、今からでも字を書く時は意識してゆっくり丁寧に書けばいいんです。当たり前ですけどそのうち体が綺麗に字を書くことを覚えます。体が綺麗な字を書くことを覚えてしまえば、自然と早く綺麗な字が書けるようになってきます。継続は力なりです。
この方法、長期計画のように見えますが、ある程度のレベルまで上達するのに基本1ヶ月も必要ありません。それくらい意識して書くことは重要です。そして何よりも大事なキーワードは、焦らない焦らない。
3.見てもらう
人を成長させるもっとも大きい要素は他人の視線です。自分の殻に閉じこもっていても何一つ上達などしません。所詮は自己満足のレベルで終わってしまいます。「綺麗な字ですね」とか他人から言われたくないですか? ならば、他人に見てもらいましょう。
ただ、他人に見てもらうと言っても、別に先生のように赤ペンしたりとかそんなものは一切いりません。「いつも字が小さいよね」とか「左右のバランス悪いかな」とか、ちょっとしたことをコメントしてもらうことが重要です。そのコメントに対して自分はどう変えればよいか、考えることが重要なのです。
まとめ
・上手い字を真似ろ
・焦らずゆっくり書け
・人に見てもらえ
途中で“練習するのであれば”と書いた通り、個人的には練習はあまりしなくても良い場合もあると思っています。普段から紙に何か書きものをしている人、仕事で手書きの書類を作る人などです。そういう方たちであれば、練習よりも2つ目の「ゆっくり書く」ことを意識するだけで、徐々に上達すると思いますよ。
*1:そこまでの上達を目指す必要ないけどねw